車内で嘔吐が発生したら

車内での嘔吐を想定した試験

試験データ

車両:ニッサン オッティ (軽自動車) 

試験方法:幼児の着席時の頭の高さを想定。(国土交通省のチャイルドシートアセスメントの幼児想定身長を参考に4歳児100cmと仮定し算出)その高さから、500mlボトルに水を約400ml入った状態で勢いよく約200mlを前方に向かって放出。 助手席と左後部座席からそれぞれ同様に試験し、仮定嘔吐物の飛散状態を確認・記録したものです。

試験結果1:助手席からの嘔吐試験では、以下の場所への飛散が直接確認できた。

〇シート座面 〇フロアマット 〇ダッシュパネル 〇フロントガラス 〇サンバイザー 〇サンバイザー付近の天井 〇左前ドア内装

試験結果2:左後部座席からの嘔吐試験では、以下の場所への飛散が直接確認できた。

〇シート座面 〇フロアマット 〇助手席背面部 〇センターコンソール

※動画からもわかる様に、一度の嘔吐でかなりの広範囲に飛散が確認されています。厚生労働省のノロウイルスによる嘔吐の汚染エリア(要消毒エリア)は、半径2mとされており、一般的な自動車の場合は、ほぼ車内全域が消毒対象範囲に当てはまってしまいます。

皆さんは、ご自分の車の天井を注意深くご覧になったことがありますか?実は車の天井部(ルーフライニング)は汚れている事が非常に多いのです。タバコを吸っている車両であれば、ヤニが天井部にそのまま吸収されたような状態になっていますし、上記の写真の様に飲み物の汚れなどが付着しているケースも珍しくありません。車内で嘔吐が発生した場合、天井まで飛散してしまう可能性は、決して大げさな事ではないのです。

助手席からの嘔吐では、ダッシュパネルへの直撃も考えられます。写真の試験でもかなりの飛散が確認できます。ダッシュパネルは、開口部やエアコンの吹き出し口、スピーカー等が配置されており、確実な清掃・消毒は一般のユーザーでは困難です。

シート座面は、嘔吐した人が着席しているので、実際の飛散はもう少しシート前方に集中するものと考えられます。とっさに素手で対応してしまいがちですが、ノロウイルスの可能性を考えての対応が必要です。

足元のマットに飛散した嘔吐の処理も想像以上に大変です。基本的にフロアマットは、毛足が長く嘔吐物を取り除いたり、洗浄するだけでは安心とはいえません。しっかりと検証された手順で消毒する事が必要です。不十分な処理で乾燥したノロウイルスが浮遊し、2週間も後になって2次感染をした事例も報告されています。